今マーケットで起きていることの本質と、マーケティングのあるべき姿を簡潔な文章と、明快な論旨でマーケティングの神様、フィリップ・コトラーがまとめた。「デジタル時代のマーケティング」をメインテーマに据えたという点で、従来のコトラーの著作と大きく異なる記念すべき一冊。全編をとおして、マーケティング戦略と企業戦略を絶えず刷新していくことの重要性がひしひしと伝わってくる。オールド・エコノミー時代の発想から抜け切れていないマーケターにとって耳の痛い指摘や、戦略論の定説への反論(「サプライヤーの数は減らした方がよい」など)も見られるが、決して「批判のための批判」ではなく、建設的な問題提起となっている。顧客の力が強くなっていること、顧客経験を重視した発想が重要になっていることなどをロジック中心で押している。また、セブンイレブン・ジャパン、良品計画、セガ、ソニーなど日本企業の事例も登場するため、日本の読者にも親近感が増すと思われる。(Original
Title:Marketing Moves [ Harvard Business School Press ])