◇  第一章  マーケティングの危機-----お金では解決できない!  ◇

  あなたのせいじゃない。

  実際、無理な話なのだ。昨年一年だけで一万七千もの新製品が棚に並び、アメリカ人一人当たり一000ドルの広告宣伝予算が使われた。すべて、生活者である「あなた」に向けられて。でも、それらすべてをあなたが記憶することは物理的に不可能である。

  こうなってくると、ひとは自分の周囲の世界が高速で動きはじめたような錯覚におちいり、目の前がかすんでくる。空港に行ってもテレビに追いかけられるし、トイレに行くと便器に広告がはりついている。電子メールにもニュースレターがくっついていて、携帯電話はあなたがどこに逃げても追いかけてくる。

  この本で私たちは、現代における「注意力」の危機と、そのような新しい環境の中でマーケティング担当者がいかに新しい地平を開くべきかについて考察する。かつて優秀なマーケティング担当者は、古い広告や販売手法をあらため、マーケットシェアと利益を増やす新しい方法を発見するのに力を注いできた。しかし、これからご紹介する「パーミション・マーケティング」は広告と顧客について、抜本的に違うものの考えかたをするのである。



◆ もはや広告の出番はない!

◆ 土足マーケティング : 生活者の関心をひくための古典的なアプローチ

◆ 生活者は忙しくて、あれこれ見るひまはない

◆ マスメディアよ、安らかに眠れ。これからはニッチメディアの時代だ!

◆ マス・マーケティング、四つのアプローチ

◆ ダイレクト・マーケティングは混乱をつきぬける

◆ なぜ広告代理店が無力なのか

◆ 土足マーケティング担当者を襲うジレンマ



訳注 ◆ interruption marketingとpermission marketing

interruption marketing 直訳すれば、「じゃま」するマーケティングとなるが、「ひとの家に土足で上がりこむ」イメージから、「土足マーケティング」と訳した。
permission marketing 「permission」は、基本的には、「パーミション」のまま訳出したが、論のコンテキストや前後の関連で日本語にしたほうがいい場合もある。その時には、「よろしければ」というニュアンスを生かすため、「顧客が心を開く」と訳した。敷延して、permission marketingは、「土足マーケティング」と対比して使う際には「ともだちマーケティング」とした。



  PermissionMarketing TOP  
next
(c)1999 Shoeisha Co.,Ltd