◇  第一章  マーケティングの危機-----お金では解決できない!  ◇

◆ 土足マーケティング担当者を襲うジレンマ

  土足マーケティング担当者が直面している問題を要約してみる

1. 人間の注意力には限界がある

  人間はすべてのものを見たり、覚えたり、行動したりすることはできない。生活の中で聞こえるノイズが増えれば増えるほど、人間の頭に残るものは少なくなっていく。

2. 人間の使えるお金には限界がある

  すべてのものを買うことはできない。選ばなければならない。しかし、人間の注意力には限界があるために、気がついたものの中から何が一つだけを選ぶようになる。

3. 商品が増えれば増えるほど、お金は商品にはまわらないようになる

  ゼロ・サムゲームなのだ。コークを買えば、ペプシは買わない、ということになる。
企業が市場に出す商品が増えれば増えるほど、各企業の持つ商品ラインアップが増えれば増えるほど、敗者の数のほうが、勝者よりも増える計算になる。

4. もっともっと注意をひくため、また、お金をおびきよせるため、土足マーケティング担当者はさらにもっともっと予算を使わなければならなくなる

  この混乱した市場のなかで、競合よりも広告予算が少ない、ということは必然的に売上が下がる、ということを意味する。

5.マーケティング露出が増える、ということは、そのまま支出が増える、ということを意味する

  土足マーケティング担当者は混乱をつきぬけるためには、さらにさらに予算を増やすしか他の方法はない。

6.しかし、すでに見てきたように、お金を使えば使うほど、混乱はますます増加する。

7. パラドックス。お金を使えば使うほど、効果は薄まる。効果が薄まるほど、さらにお金を使う。

  マス・マーケティングは、ガラガラと音をたてて、崩れ去るしかないのか? 然り。新しいマーケティングのパラダイムは世界を変え始めている。それはちょうど自動車産業が馬車の鞭メーカーを脅かしたのと同様、土足マーケティングを脅かし始めているのである。



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