◇  第一章  マーケティングの危機-----お金では解決できない!  ◇

◆ なぜ広告代理店が無力なのか

  では、その広告代理店はどうなのか。 優秀な社員をたくさん抱えながら、なぜ彼らはこの問題を解決することができないのだろうか。

  不幸なことだが、混乱は、広告代理店側にも犠牲者を生んでいる。大きな代理店こそ、この問題に真っ向から取り組むべきなのであるが、三つの憂鬱な問題に直面している。

1.まず、クライアントは移り気である。レオ・バーネット社(Leo Burnett)は20年、いや、30年は同じ一つのクライアントをつなぎとめてきた。リーバイス(Levi's)は68年も、同じ代理店FCB社を使ってきた。

  これはあまりにも長すぎるので、両社の担当者とも飽きてしまっていた。

  対して、今では2、3年で代理店を変えることが普通だ。バンク・オブ・アメリカ、コンパック、グッドイヤー、などたくさんの会社が昨年広告代理店を変えた。

2.二つ目の問題は株式市場の動きが代理店の整理統合の傾向に拍車をかけた、というものがある。

  今日、広告でお金を儲ける手っ取り早い方法は、代理店を買収して、株価公開することである。結果として、ビジネスの焦点が代理店を起こすことになってしまい、ブランドを確立したりする努力に向かわなくなってしまっている。

3.最後の問題。これまで慣習的にみられた代理店のコミッション制度が劇的に崩れてしまいつつあることが挙げられる。伝統的な代理店は、メディア会社からコミッションが支払われる。

  クライアントから、雑誌、テレビネットワークなどに打った広告費用の15パーセントをコミッションとしてもらう。だから上得意なクライアントは代理店にたんまりとした利益をもたらす。そしてその利益が別の新しい広告アプローチを試したり、新興のもっと小さいクライアントのための革新的な広告を開発したりするのに再投資される。しかし、もはやいくらお得意さんといえども、そのような「助成金」は勘弁してくれと思い始めた。もはや15パーセントというコミッションは、すんなりとは取れなくなっているのが現状である。



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